給与所得者・年金所得者の所得税の確定申告 1
今年も所得税の確定申告の時期になりました。
個人事業主の方は、確定申告をご自分の主収入に係る所得を確定するために毎年行っており、かつ適正な納税・できる限りの節税を行おうとする場合は日頃から所得税の仕組みを意識する必要があるため、個人差はあると思いますが、所得税の仕組みを意識する機会が多いと思います。
しかし、給与所得者・年金所得者の方の多くは、資産運用・余暇の活用等による副収入・土地・建物の売買等による臨時収入について確定申告を行うため、年に1回のこの時期にしか所得税の仕組みを意識する機会がなく、結果としてあまり理解が深まらないまま毎年の確定申告を行っている方もいらっしゃると思います。
今回は、そのような給与所得者・年金所得者の方が行う確定申告のポイントを3回に分けてご紹介したいと思います。
(注:このコラムは、給与所得者・年金所得者の確定申告にポイントを絞っているため、所得税法の取扱いから抜粋し、かつ理解しやすいように平易な書き方をしております。そのため、個別の事実の解釈・適用についてはコラムの内容と異なることがあり得ることをご了承ください。)
所得税の確定申告とは?
所得税は、個人に対して、その年の1月1日から12月31日までの1年間に発生した、その個人の所得に課税されます。そして原則的な手続きは、翌年の2月16日~3月15日の間に、納税者である個人が住所(原則)を管轄する税務署に申告書を提出することにより、所得と税額の計算を税務署に報告し、そしてその提出した申告書に記載した税額を納付することになります。この一連の手続きを所得税の確定申告と呼んでいます。
所得税法上、所得はその性格により10種類の所得に区分されています。
所得の種類 → https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1300.htm
そして、所得税法の税率は所得が大きいほど税率が高くなる累進税率を採用しています。
所得税の税率 → https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
「収入」と「所得」の違い
「収入」は、多くの場合は「受け取るべき金額そのもの」です(注:経費等が控除されている場合は控除される前の総額になります)。例えば、駅前の土地で月極駐車場を経営している場合などは、各契約者から受け取る料金が「収入」になります。
「所得」は、簡単に言うと「収入」を得るためにかかった費用(以下、「必要経費」といいます)を差し引いたものを言います(注:所得の種類によっては必要経費を差し引いた後、所得税法で定められている「特別控除額」を控除します)。先の月極駐車場の場合、土地に係る固定資産税がそれに該当します。そして、その他に必要経費がなければ、月極駐車場の経営にかかる所得は、『各契約者から受け取る料金-固定資産税』で計算されます。また、原則必要経費は実額そのものですが、給与・公的年金等・退職金に係る所得を計算する場合は、必要経費に相当する金額としてそれぞれの控除額が収入金額に応じてあらかじめ定められています。
所得税はこの「所得」の額から各種の所得控除額(基礎控除・扶養控除・社会保険料控除などをいいます)を引いた後の金額に税率をかけることにより算出されます。そのため、所得税法で認められる「必要経費」をできるだけたくさん積上げることは、節税方法のひとつと言えます。