相続事前対策 1 ~ 贈与税のポイント(3)~

贈与税のポイント(1)では、贈与税の基本的な考え方として贈与税の課税について説明しました。今回は、実際に贈与税申告を行う際に、相続時精算課税を選択した場合の贈与税の申告・税額計算のポイント、及び贈与税申告に関する相続時精算課税の留意点について説明します。

(暦年課税の申告・税額計算のポイントについては、贈与税のポイント(2)をご覧ください)

相続時精算課税制度の概要 

  1. 60歳以上の父母や祖父母(平成261231日以前の贈与では65歳以上の父母のみ)から、20歳以上の推定相続人及び孫(平成261231日以前の贈与では推定相続人のみ)への贈与が対象です。
  2. 贈与時には軽減された贈与税を納付し、相続時に相続税計算を通じて税金の精算をします。具体的には、贈与時に2,500万円の特別控除がされ、この特別控除額を超える部分について、一律20%の税率で贈与税が課税されます。そしてこの贈与税は、相続時に相続税の計算上で精算され、払い過ぎの贈与税があれば還付を受けることができます。

相続時精算課税の選択 

 相続時精算課税制度を選択しようとする受贈者は、「相続時精算課税選択届出書」を、最初に贈与を受けた年の翌年21日から315日までの間に、贈与税申告書に添付して、受贈者の納税地(通常は住所地)を管轄する税務署に提出しなければなりません。

相続時精算課税の申告・納付 

ポイント1

贈与税の申告書提出と納付

贈与税の申告書の提出期間は、翌年の2月1日から3月15日まで、贈与税の納付期限は翌年の3月15日までです。

 ポイント2

贈与税額の計算は、相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、1年間にその贈与者から贈与を受けた財産の価額の合計額から2,500万円の特別控除を控除した残額に20%を乗じて計算

この特別控除2,500万円は、相続時精算課税を選択した最初の年に控除しきれなかった金額は翌年以降の贈与税額の計算上控除され、最初の年以降のいずれかの年で全額控除した場合は、その全額控除した年後の贈与税額の計算上控除される金額はないこととなります。

ポイント3

 マイナンバーの記載 … 平成28年分の贈与税の申告から必要になります

 マイナンバーの記載は、贈与を受けた方のみです。誤って贈与をした方のマイナンバーを記載しないようにしましょう。(マイナンバーは非常に重要な個人情報です!)
 また、書面で申告書を提出する場合は、マイナンバーにつき本人確認書類の提示又は添付が必要となりますので注意しましょう。

>贈与税申告に係るマイナンバーの詳細

相続時精算課税の留意点 ~贈与税申告に関して~  

1.相続時精算課税は、いったん選択すると選択した年以後贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
  • 選択初年度以降で2,500万円の特別控除を使い切った場合は、その使い切った年分後は、たとえ少額の贈与であっても贈与税額が発生します。
  • その贈与者につき相続時精算課税の選択初年度から相当年数経過した後、再度その贈与者から贈与を受ける場合などは注意しましょう。
    (過去に選択したかどうかわからない場合は、受贈者は納税地(通常は住所地)を管轄する税務署に閲覧の請求をして確認することができます)
2.相続時精算課税を選択した場合は、相続精算課税を選択した贈与者からの贈与につき、選択した年分以後は必ず贈与税申告が必要です。
  •  贈与を受けた財産の価額が2,500万円の特別控除の額以下で納付すべき贈与税がない場合でも、贈与税申告が必要です。
  •  贈与財産の価額が少額であっても贈与税申告が必要です。
    (「110万円以下の贈与は贈与税がかからない」と言われている『110万円』は暦年課税のその年分ごとの控除額です。相続時精算課税を選択した場合は関係ありません)
3.相続時精算課税は、例えば受贈者である子それぞれが贈与者である父・母ごとに選択でき、相続時精算課税選択届出書の提出は贈与者ごとに行います。
4.相続時精算課税を受けた贈与財産は、贈与者が亡くなった時、相続財産として相続税計算の対象となります。そのため、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産にかかる贈与税申告書は、必ずその贈与者が亡くなる時まで保管しておきましょう。(ただし、その贈与者が亡くなり相続が始まった場合に、贈与税申告書を紛失したときは、相続人等は税務署に贈与税申告書の閲覧請求が出来ます)
5.贈与者・受贈者の両方が相続時精算課税の適用要件(上記「相続精算課税制度の概要」下線部分)に該当する場合は、贈与税の課税方法につき、暦年課税と相続精算課税のいずれかを選択することができます。ただし、「選択」といっても特別な手続きは必要なく、実際の申告手続きは、次にようになります。
  •  暦年課税を選択 … 贈与税申告書の第一表を提出(特例を受ける場合は他の様式の提出も必要)
  •  相続時精算課税を選択
     ◆初年度…贈与税申告書の第一表・第二表、及び相続精算課税選択届出書・受贈者の戸籍謄本などの添付書類を提出
     ◆2回目以降…贈与税申告書の第一表・第二表を提出
      
    ※ 相続時精算課税の留意点は贈与税申告以外にもありますが、「相続税対策としての生前贈与」として別の機会に説明します。

 

 

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